学校日記

PTA会報誌『千石』巻頭言「50周年に寄せて」

公開日
2025/08/09
更新日
2025/08/09

校長室より

 50年前、小学3年生の私は、大阪北部からこの泉南地区に引っ越してきました。駅員さんが改札で切符を切っていた時代です。父が「カラーテレビ」の購入を少し自慢げに語り、七つ上の兄の「ラジカセ」に私が興奮していたあの頃に、四中は新設校としての歩みを始めました。当時あちこちにあった空き地や土管、遊んでよかった川や水路は、その頃から少しずつ姿を消し始め、土の道はみるみるうちにアスファルトで舗装されていきました。

 買い物カゴや豆腐入れ、野菜を包んだ新聞紙や、肉を包んだ竹の皮など、〝Sustainable(サステナブル)〟な小道具も次第に使い捨て容器にとってかわり、壊れたら修理していた機械製品も、それができないほど製品開発のスピードが上がって、買い替えが当たり前の時代に移っていきました。


 私の知る50年間、良くも悪くも、社会はこのように大きく変化してきました。四中もまた然り。

 かつて1学年に7クラスあったことも、1クラスに45人いたことも、体育大会ではフォークダンスが行われていたことも、水泳部やギター部があったことも、進学できる学区が限られていたことも、今では遠い昔話となり、当時、丸坊主に詰襟、肩までの髪にセーラーだった四中生たちは、現在「自然な髪型」にブレザーで通う毎日を過ごし、タブレット端末を用いて学習するようにまでなっています。


 この社会や生活の著しい変化は、今後ますます加速していくことが予想されており、このあとどんな未来が訪れるのかは予想もつきません。

 教育も、その予測不能な未来に対応できるよう、今も中教審を中心に様々な議論がなされています。

 ただ、社会の表層がいかに変わろうとも、本校が50年間掲げている「自律と創造」のように、変わらず大切にすべきことはあるはずで、私たちはそこに注力すべく、四中の教育を、今、再度見直しています。

 テストの点数に代表される「いわゆる学力」以上に、どんな時代、どんな世界でも通用する、人生を成功に導く『原則』とでもいうべきものを、子供たちに身につけさせたい。たとえ勉強が苦手でもこれができれば、という力を育てたい。それが私たちの願いです。

 幸せに生きるための不変の『原則』を学べる四中へ。この新たな一歩に保護者の皆様の更なるご協力をいただければ幸いです。


 子供は社会の、つまりは、私たちみんなの宝物。これもまた時代を問わぬ、不変の真実ですから。