学校日記

本田美登里氏 優れた選手の育成について

公開日
2013/02/22
更新日
2013/02/22

校長室だより

サッカー女子代表コーチである本田美登里氏が優れた選手の育成について、インタビューで大変興味深いことを話されている。

「若い才能をどう育てるか」
本田(サッカー日本女子代表コーチ)
二〇一三年二月
【記者:協調性や戦術といった部分は、どうやって鍛えていくのですか?】
 監督が試合前のミーティングで話したことを納得させるだけじゃなく、その後にもう一度選手間でミーティングをさせるんです。監督はあまり細かなことにまで指示を出さないので、具体的にこういう場面になった時、誰がどこへ動けばいいかを皆で話し合う。最初はすぐ私に救いを求めてきますが、一切口を出しません。選手たちは「もう一回やり直そう」と言って何度も何度も話し合う。だからミーティングが物凄く長いんですが、そうやって彼女たちが自分たちで考えて、自分たちでルールを決めていくんですね。そうすると一か月前は「私はここに行きたいから」と自分勝手なことを言って他の子たちの負担を顧みなかった子も、それではダメだということに気づく中でだんだんと成長していく。これは私が女性だからかもしれませんが、選手の育成は子育てと一緒のように思うんです。誉める時には誉めて、叱る時には叱る。ただ、その選手がいまどんな感情でいるのかを見抜ける洞察力は、普通の人以上に必要だと思います。
【記者:伸びてくる選手に何か共通したものはありますか?】
 まずどんなに嫌なことや辛いことがあっても、変わらずにサッカーが好きでいる子。負けず嫌いでありながら、周りにもちゃんと気が使える子。例えば宮間は凄く人思いな子で、私がちょっとでも心配事があると、すっと寄ってきて、
「大丈夫?あやに何かできることない?」
と声を掛けてくれる。彼女はそれを私にだけじゃなく、チームメイト全員に対してできるから、いまの立場にいるのだと思います。それと、あの子はいつも私に質問をしてきましたね。
「なんで点が入るの? なんでパスが通ったの? なんであやはボールを取られたの?」
「なんで、なんで?」
と聞いてきて、それをきちんと理解しようとしていた。きっと自分の中に描くイメージがあって、そのイメージを大きくしよう、大きくしようとしていたんでしょうね。何か頼み事をしておいても
「できました」
と言うだけじゃなく、
「できたけど、次何をやったらいい?」
と、絶えず次のことに目を向けていました。
【記者:伸びる選手は心掛けが違うんですね】
 同じことを言われても、それを疑問に思う子と思わない子、言われたことだけをやる子とそれ以上のことをする子がいます。そういう一つひとつの積み重ねが、五年や十年という年月の中で大きな差になっていくと思うんです。