最新更新日:2024/06/02
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学校教育目標 「笑顔」と「希望」にあふれた学校 〜「信頼」と「感謝」を軸に〜

卒業式 その3〜貝塚市立東小学校 第104回 卒業式 式辞〜

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 校庭の桜の蕾が膨らみ、一巡の風に春の訪れを感じる今日のよき日、東小学校を巣立っていく114名のみなさん、卒業おめでとうございます。
 今日は、みなさんの門出をお祝いするために、本校PTA会長様、地域のみな様、貝塚市教育委員会・地元議会議員のみな様、中学校・幼稚園・保育所の先生はじめ、たくさんのご来賓の方々が来てくださいました。
 学校を代表いたしまして、高い所からではございますが、心からお礼申し上げます。ありがとうございます。

 さて、卒業生のみなさん、今、みなさん一人ひとりに卒業証書を渡しました。その卒業証書は、みなさんが、この6年間、小学校生活を果たし終えたという証です。
1枚の紙ではありますが、その中には、みなさんの6年間の学校で学んだことや培ったこと、想い出のすべてが込められています。ぜひ、いつまでも大切に保存してほしいと思います。
 ところで、本日、みなさんを送り出すにあたって、一人の詩人の紹介と、みなさんへのお願いを3つ話して、お祝いの言葉とします。

 その詩人とは、金子みすゞという人です。
 金子みすゞは、今から約100年前に山口県に生まれ26歳の若さで亡くなった詩人です。誰からも好かれる、読書好きの優しい女の人でした。
 自然の風景を素直に見つめ、その優しさに満ちた彼女の作品は、21世紀を生きる私たちに大切なメッセージを伝えています。彼女の作品の中で「みんな違って、みんないい」という言葉は有名ですが、『こだまでしょうか』という詩があります。みなさんも、きっと聞いたことがあると思います。
 千年に一度と言われるこの度の東日本大震災を受けて、その直後にテレビやラジオのCMでこの詩が流れたからです。

 「遊ぼう」っていうと「遊ぼう」っていう。
 「馬鹿」っていうと「馬鹿」っていう。
 「もう遊ばない」っていうと「もう遊ばない」っていう。
 そして、あとで さみしくなって、「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、いいえ、誰でも。

 この詩で注目したいのは、「こだまでしょうか」という問いかけに「いいえ、誰でも」と答えている最後の言葉です。
 《良いことも悪いことも、投げ掛けられた言葉や思いに反応するのは「こだま」だけでなく、わたしたちの心がそうだ》と、金子みすゞは言っているのです。
 この詩は、わたしたちに被災された多くの方々が味わった悲しみや辛い思いに対して、こだまする自分でいられるかどうかと考えさせます。
 ちょうど10日前のことです、久城教頭先生と須貝先生のお二人が宮城県石巻市内の小学校などに視察に行かれました。2年の歳月が過ぎた今も「自分の学校に通うことができなくて他の学校で学んでいる子どもがいることや山積みの瓦礫、砂漠のように見渡す限り何もない光景が広がっている」とのことです。大勢の人々が避難生活を強いられ、街の復旧復興に向けて懸命に努力されていることを忘れてはいけません。地震直後のことでした。

○自宅までの長い道のりを延々と歩いて帰る人々に「よかったらトイレのご利
 用どうぞ!」と、自分の家のトイレを使ってくださいと呼び掛けた人。
○物が散乱しているスーパーで、落ちている品物をきちんと列に戻して、黙っ
 てレジに並んでお金を置いて買い物をした人。 
○運転を再開した電車で混んでいるのにおなかの大きい妊婦さんに席を譲る
 お年寄り。

 信じられないぐらい大きな災害に見舞われても、暴動や略奪など、自分だけの利益に走らず、優しさやがんばりを現すことができた人々の姿に、国内だけでなく世界中の人々が感動し勇気づけられました。
 「自分がされて嫌なことは絶対に人にしない」と共に、「自分がされてうれしいことを人にする」こと。人の苦しみを共に悲しみ、人の幸せを一緒に喜ぶことのできる人が一番立派な人です。そして、そのようにできるのは、金子みすゞが「こだまでしょうか」の詩に思いを込めたように、人と人が出合い、ふれあい、響き合い、優しく強くなれる自分を見つめることではないかと思います。

 次に、みなさんの卒業にあたり、これからの中学校生活に期待をこめて、3つのお願いを話します。
 一つめは、お父さん、お母さん、保護者、ご家族の方々に感謝しながら、これからの人生を歩んでほしいということです。みなさんが、今日、卒業できるのは、お父さん、お母さん、保護者、ご家族の方々のお力があったればこそです。先日、北海道の暴風雪で、9歳の娘を命がけで守り、亡くなったお父さんの行動が報じられ、多くの人々の心を打ちました。みなさんのお父さん、お母さんも、みなさんが東小学校に通っている間、大きな期待と共に様々な心配や苦労があったことと思います。今まで自分をあたたかく見守り、親身に支えてくださった家族の方々に感謝しながら卒業してほしいと願っています。   
 二つめは、地域やふるさと我が国や世界のために貢献できることを考え、行動できる人であってほしいということです。みなさんがここまで心身ともに大きく成長したのは、小さい頃からの友だち、保育所・幼稚園・小学校の先生、地域の方々、そして、慣れ親しんだ遊び場、故郷の山や川や海など、それぞれが、みなさんの成長に大きな影響を与えてくれたと思います。これからは、ふるさとや地域の人々、ひいては我が国の大震災からの復旧・復興や世界の平和などに、自分は何ができるのかを考え行動できる人であってほしいと願っています。
 三つめは、自分だけのたった一度切りの人生を悔いのないように生きてほしいということです。人の命は有限です。限りがあります。命というのは自分に与えられた「時間」のことです。その限りある自分の「時間」を、自分なりに満足できるものであってほしいと願います。
 人間はその人でなければできない何かを持って生まれてきます。全てに優れた人がいないように、全てに駄目な人はいません。しんどいことやや失敗にくじけないで、いつでも前向きに生きてほしいと願っています。人の生き方は、人それぞれですが、人として「偉い」のは差別やいじめを憎むなど、正義感を持ち、他人や社会を思いやり、そのために苦労できる人、みんなと力を合わせて協力できる人だと思います。また、人の幸せは、人との比較ではなく、その人らしい、自分らしい生き方をすることでもあると考えます。是非、みなさんらしい、みなさんにしかできない人生とは何かを考え行動してほしいと思います。
 以上、3つのお願いをしましたが、これからの生活の中で思い出し、厳しい世の中にあっても、自分の持てる力をより高め、家族、仲間と共に、「夢」と「希望」と「志」を持って力強く生きてほしいと思います。

 終わりになりましたが、保護者のみな様、本日は、お子さんのご卒業、誠におめでとうございます。
 入学した頃、体よりランドセルの方が大きく感じたお子さんの姿から、こんなに立派に成長しました。お子さんを慈しみ、大きな愛情を持って育ててこられましたことに敬意を表します。
 また、本校の教育活動に、いつもあたたかいご理解とご協力をいただいておりますPTA・地域のみなさま、そして、教育委員会をはじめ関係機関のみなさま方に心から感謝を申し上げまして、卒業生へのはなむけの言葉といたします。        
                          平成25年3月19日   
                          貝塚市立東小学校
                          学校長 明石 一朗

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